日本酒と料理のペアリングコースが楽しめる「伊東家」。オーナーは料理人の伊東利宗さん(1976年、東京都出身)。これまで西新宿で9年間、居酒屋を経営してきました。今回、その西新宿のお店を引き払い、屋号もスタイルもガラリと変え、渋谷に移転してのオープンです。

なぜ新しいスタイルに挑戦しようと考えたのか? オープンから1ヶ月ほどが過ぎた2020年8月、伊東さんにお話を伺ってきました。

 

(2020年8月5日取材)


 

 

日本酒を自由に出したいっていうことですね。

前の西新宿の店でも日本酒は出してたんですけど、安めの居酒屋だったんです。なので出るのは安い日本酒で。もっと日本酒を自分が納得できるかたちで自由に出せないかな、と思って。

 

 

そうですね。日本酒は好きですね。

日本酒って、安いお酒でも美味しいものは美味しいので、高いお酒ってなかなかお店では売れないんですよ。

そうなると、美味しいんだけど高いっていうだけで、自分としても自由に仕入れにくくなるんです。その状況を変えたいなっていうことですね。

あと、高い日本酒の中でも、名前が知られていて売れてるものっていうのはあるんですけど、名前が知られてなくて、いいものなのに売れてないっていうものが多い。

 

 

じゃあそれを自分の店で売ろうと思ったら、日本酒をコースで売るしかないなと。だけど飲み物だけのコースのお店って世の中にないじゃないですか。成立しないからですよね。

そしたら、料理とのペアリングっていう考えに自然となってくるかなと。

 

 

そうです。日本酒が料理とのペアリングでコースになって9種類出てくるっていう。

 

 

28歳でサラリーマンを辞めて、レストランで働いたり日本酒の店も働いたり、アルバイトを続けながら。それで33歳のときに独立して西新宿にお店を出しまして。

 

 

なんででしょうかね。食べることが好きだったから飲食を選ぶほかになかったのかもしれないですね。

 

 

そうです。将来は自分で店をやりたいなと思っていたので。

 

 

そんなにこだわりはなかったんですけど、とりあえずカウンター9席を作りたいっていうイメージがあったんです。

9席で1人1万円の単価だと店としてうまくいけるな、と。そうすると月に250万円ぐらいの売上だから2人で回せることになる。頑張ればスタッフを3人にしてテーブル席も16席ばかり加えて25席。一日25万円で月500〜600万円ぐらいの売上になるなと。

 

とりあえずそうやって売上から諸々考えて席数を決め、カタチを決めていった感じで。デザイン的にはけっこうデザイナーさんにお任せだったんですが、自分でもびっくりするぐらい綺麗なお店になりましたね。全体的な空間のすわりは気に入ってます。

 

 

施工事例を見て、綺麗に作る会社だなとは思ってたんです。

山翠舎さんとは別にもう一つ気になってたデザイン事務所さんがあって、それぞれの手がけたお店を10軒づつぐらい実際に行ってみたんです。

そしたら、山翠舎さんのお店のほうが仕上がりが綺麗だったんですね。

 

 

前の店は20席あったんですけど、場合によっては自分一人で回してたんですよね。

それが今回9席で、自分で納得できるものを出そうというスタイルに変えてやってるわけですけど、これが想定していた以上に手間がかかって。

この今のスタイルに自分を早く慣らしていかないといけない、まずはそこですね。