バーテンダーになるため、2001年、19歳で郷里の熊本を離れ、大阪、そして東京のバーを渡り歩き修行を重ねてきた政田羊介さん。2012年に独立、東京・中目黒に「BAR ELIXIRS(バーエリキシル)」をオープンさせた。
そして今回、中目黒から移転するかたちで東京・神楽坂に「BAR SHEEP TAIL(バー・シープ・テイル)」をオープン。
なぜ今回、新しい場所で新しい店舗をつくり、移転することに決めたのか? オープンを直前に控えた2020年6月、政田さんにお話を伺ってきました。
(2020年6月22日 取材)
— まずここはどんなお店でしょうか?
2店舗目になるんですけど、1店舗目とは全く違う内装、雰囲気でやりたくて。
山翠舎さんだから古木を使って、落ち着いた雰囲気の大人が楽しめるお店にしたいな、と。
これまで中目黒で「BAR ELIXIRS」っていうお店をやっていたんですけど、あまりにモダンでオシャレな感じの内装だったので、もうちょっと優しい感じに変えたいと思ったんです。
正直やることは変わらないんですけど、こういう雰囲気は神楽坂という街ともマッチしてるし、飽きがこないんじゃないかなあと。
やっぱり長くお店をやっていきたいですから。なので今回、中目黒のお店は閉店して、ここへ移転することにしたんです。
— 政田さんがそもそもバーの仕事を始められたのは、どういうきっかけだったんですか?
最初、19歳ぐらいまでは地元熊本の古着屋でバイトしてたんです。あるとき大阪へ旅行へ行って、バーへ飲みに行ったんですが、そこのバーテンダーの人がかっこよくて。
そのころ自分なりに「このまま服屋を続けてていいのかな?」みたいな、いろんなことを考えてて、そのときはそう思っちゃったんです。
そのときバーテンダーの世界を見て、飲食の世界だったら歳を重ねてもできると思って、まず大阪へ行きまして。5年、ミナミのバーで働いて。
そしたら思った以上にバーっていう仕事にハマりまして、次は東京へ行きたいな、ってなって。そのとき東京に働きたいお店があったので、今、西麻布とか銀座にお店があるバーなんですけど、そこへ行って、
— どんな名前のお店ですか?
「Bar Rage」っていう、フルーツカクテルで当時有名なお店だったんですけど、そこに入って、3年か4年ぐらいやりました。
そのあとにちょっと、それまでずっと個人経営の小さなバーで働いてきたんで大きい会社に一度入ろうと思って、
XEX(ゼックス)っていうところに入って、最後にそこで1年半ぐらいやって、独立しました。
— 最後に大きいところに入ろうと思われたのは、経営的なノウハウを学ぼうっていう意図で?
それもあるんですけど。バーってこういうかたちなので基本的に2、3人としか一緒に働かないんですよ。
でもXEXみたいなところだとレストランのスタッフとかいろんな人がいて、ワンフロアに50人ぐらいいたり。
そういう世界も経験しておきたいなあと、それこそ興味本位でしたけど、そのなかで「人間関係ってやっぱり難しいんだなあ」とか、会議とか「あっ、僕には合わないかもしれない」とか(笑)、いろんなことに気づくきっかけにはなりましたね。
— 今回のお店の名前が「SHEEP TAIL」ですが、SHEEP(羊)っていうのは、羊介さんの名前から?
そうです。それと、カクテルの語源がコックテイル(鶏の尾っぽ)っていうんですけど、それをちょっと掛け合わせてます。
— いろんなバーがあるなかで、このバーの特徴といえば何でしょうか?
フルーツカクテルをけっこうやります。今フルーツケースを特注で作ってもらってるんですけど、それが店内にドンって置かれ、そこにフルーツを並べて。
— そのフルーツを実際にその場で潰してカクテルを作るんですか?
そうです。潰して、シェイクして。これがやっぱり美味しいんです。最近、そういうお店も増えてきたとは思うんですけど、たいていフルーツが2〜3種類しか置いてない。
でもこの店では、その季節のフルーツをなんだかんだで10種類くらいは並べます。
今の時期だったらスイカとかモモとかプラム。もうちょっとしたらブドウが出てきて。一年中あるのはパイナップルとバナナとキーウィと。
ーそれは女性客が多くなりますね?
女性客と、それと、男性が女性を連れてきやすいですね。
— あっ、なるほど。
そういうことに使ってもらえればいいかなあと。
— 内装でこだわったポイントをいくつか教えてください。
今回は木を使った内装をやりたいっていう思いが強かったので、そういうことをやってくれる会社さんを探すなかで
山翠舎さんを知ったんですが、やっぱりバーなので、カウンターですよね。カウンターがいちばん大事で、そのほかの施工予算は抑えてもこれだけはいいものにしたいなと。
ここは居抜きで、すでにけっこういいカウンターがついていたんです。それでも変えてもらいました。触り心地がいいように耳付きにしてもらって。
あと、1店舗目では作らなかったんですが、今回はちゃんと店のロゴを作りたくて、それもお願いしました。すごくかっこいい感じのロゴにはしたくなくて。かといってあんまりポップになっても良くないですし。結果、ちょっと柔らかい雰囲気をもったクラシックな感じのロゴに仕上げてもらいました。
— なぜ神楽坂という場所を選んだんでしょうか?
上野とか池袋とか渋谷みたいな、あまりに繁華街がごちゃごちゃしてる場所じゃないところで探してて、東京駅近辺とかでも探してたんですけどそこは物件がなくて、いろいろ探していくなかで神楽坂になりました。
あと、お客さんから「神楽坂は客層がすごくいい」という話もよく聞いていたし、こういう大人の落ち着いたスタイルで行くんだったら神楽坂はいいだろうなあっていうのもあって。しかもバーなので、メインの神楽坂通りではなく、一本入ったこの場所ですね。
— これからどんなお店にしていきたいですか?
いろんな人の会話でワイワイしながらも、落ち着いた雰囲気のある店にしていきたいですね。
あと、バーってちょっと敷居が高いと思われがちじゃないですか。でもそういうものじゃないんだってことを知ってほしいなあと。
30〜50代の落ち着いた大人の雰囲気なんだけど、肩肘張らずに来ることができる、そんなお店にしていきたいですね。
— 今日はありがとうございました。